夕方、職場の課長から電話があった。
内容は、健康審査会というところで、正式に復職が決定されたということだった。
病気で休職になると、職場復帰するためには、毎月一回開かれるその健康審査会で許可が下りなければならない。また、健康審査会ではどのような形で職場復帰するかも同時に判定される。 僕の場合は、職場復帰後半年間は半日以上8時間未満の時間で労働する、という条件が付いた形での職場復帰となった。
課長は「いやあ、よかったねえ」と言葉をかけてくれた。 「ありがとうございます」僕は答えたが、内心は複雑だった。
職場復帰するところまで回復したことは素直に喜ぶべきことだが、果たしてまともに仕事が出来るのかどうか、自分に自信が持てなかった。
職場復帰した初日のことを想像してみる。すると様々な不安が湧いてくる。 「まず誰に挨拶をしよう?」 「隣の人とはどう接したらいいだろう?」 「半日で帰る自分を皆はどう思うだろう?」 「大きな仕事を任されたらどうしよう?」 まるで切りが無い。
しかし、ともかくも、人生の再スタート地点に立てるところまで漕ぎ着けたことは間違いない。 不安に打ち勝つには、勇気を持ってぶつかるしかないのだろう。
そして努力する。生き抜くために努力し続ける。 ちょっとオーバーな言い方だが、そういう姿勢が必要になってくるだろう。
でもまあ、一番重要なことは「あっかるく、悩まないこと」なんだろうなあ。
職場復帰正式決定祝いに、どこかいいところで夕食を取ろうかと思ったが、やめた。大げさなことのようにせず、普通のこととして心に受け取るべきことだと思ったからだ。
とにかく、プレッシャーに負けないようにしよう。 あくまで自然体。 周囲の評価は気にしない。 それらを心がけていれば、自然と結果はついてくるはず、と思いたい。
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