銀河鉄道を待ちながら
鬱と付き合いながらの日々を徒然に

2007年03月04日(日) 僕+A+M<3

前日、3月3日の深夜11時頃、僕は中学時代の友人AとMに「これからお茶しないか?」と連絡を取った。
こいつらなら絶対まだ起きてるし、暇なはずだという読みがあった。
予想どおり、OKの返事がすぐに返ってきた。
そして、近くのジョイフルで待ち合わせしようということになった。

僕はすぐに身支度を整え、ジョイフルに向かった。
絶対こっちの方が早く着くと思っていたのに、僕が着いたときにはもう二人はジョイフルの前でぶらぶらと待っていた。

僕は待たせたことを詫び、店内へと入った。

土曜日ということもあってか、深夜にもかかわらず客は多かった。周辺に24時間オープンしているレストランが少ないことも原因かもしれない。

僕らは今年の1月2日にも同じように深夜に会っている。
偶然、今日僕らが座った席もその日と同じ席だった。

僕は二人の近況を聞いたが、特に変わりはないようだった。前に会ってから2ヶ月しか経っていないのだから、当たり前と言えば当たり前だった。
Aは相変わらずニート。Mも相変わらずフリーターをしていた。

話していて気が付いたのだが、Aは自分のどんな恥部もさらけ出して話すが、Mは逆に自分の話はなるべく避ける。
今日、Mが実は大学を中退していたという話を聞けたのは、おそらく奇跡的なことだったろう。

僕の目から見て、二人は「一般人」の枠内から少し外れているように思う。

Aはニートだということもあるが、思想的なところで独自なものを持っているし、Mは(詳しい話は聞けていないが)趣味が変わっていて他者とうまく溶け込むことが苦手だ。

そんな二人とうまく交わることができている僕も、もちろん一般人ではないのだろうと思う。「類は友を呼ぶ」とはよく言ったものだ。

そんな三人が集まって何を話すのかというと、これが案外真面目な話だから面白い。

自分の人生観や最近のニュースについて思うことを、だらだらと話すのだ。

まともな社会からはみ出した三人がそんなことを話したってしょうがないのだから、客観的に見れば笑止だと言わざるを得ない。が、僕らにとってはそれが面白いのだがら仕方ない。

会話の中で、おもしろいことを二人は言っていた。「いつかゲームを作りたい」それが彼らのささやかな願望らしい。
Aの話では、Aの友人にプログラマーはいるので、後は脚本家とプロデューサーがいれば何とかなるのではないか、ということだった。
「でもまあ、脚本家は見つかったかな」
Aは言う。
「誰?」
と答える僕をAは指差した。
僕に脚本を書けということらしい。
僕は笑って「どんな脚本になっても知らんぞ」と答えたが、頭の中では「やってみたい」という気持ちがもう湧いていた。
自分が脚本を書いたものがゲームになる。想像しただけでも楽しい。

気が付くと、僕らはジョイフルで6時間過ごしていた。

少しだれてきたな、という感じがしていたので、僕は二人をドライブに誘った。午前6時近くのドライブだ。

二人は断らなかった。二人ともこの学生時代のような羽目を外した遊びが面白かったのだろう。

その後、僕らは一宮から22号線に乗り名古屋へ向かい、名古屋に着いた後そこでUターンし、今度は岐阜の関市まで行った。

車内は、僕が運転手でAが助手席、Mが後部座席という配置だった。

自然に僕とAが話す機会が増え、Mは主に聞き役に回っていた。Mにとってはその方が気楽だったろう。

ドライブの最中、Aは深刻なことをさらりと言った。
「おれは後14、5年経ったら自決するつもりだ」
それがAの人生設計らしい。
「おれは自決するときすぐに死ぬ方法は取らない。じっくりと死というものを味わって死にたい」
そうAは言う。
Aは、このまま生きていればやがて生活できなくなることを自覚しているのだろう。Aは「おれはそうしたいからニートをしている。覚悟はできている」と以前言っていた。
何とも言い難い、破滅的な人生だが、もしかしたらそれがAらしさなのかもしれない。
Aは非常に腕のいい絵描き(二次元のみ)だが、芸術のセンスが優れている人間はなぜこうも歪んだ人が多いのだろう(僕の偏見だろうか?)。

ドライブの終わり、二人を家に送ったとき、Aは車を降りるときにこう言った。
「じゃ、近いうちにまた」
またすぐにでも会いたい友人として認めてくれたということを、暗に言っているような気がした。

Mとは普通に「じゃ」とだけ言って別れた。
Mと僕とは連絡を取っていなかっただけで、もともと中学時代から仲が良かったから、友達だと今でも互いに思っているはずだ。Aのような表現をしてさよならを言う必要はない。

僕が家に戻ってきたのは、9時を少し過ぎていた頃だった。

ほぼ12時間、僕らはずっと会話を続けていたことになる。
よくそんなに話すことがあったものだ。

次に会うのは夏休み、お盆辺りになるだろう。
そのときが今から楽しみだ。


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