1人と1匹の日常
2005年01月02日(日)  あの頃の話をしよう(5)
両手の握力が少なくなり、物が握りにくくなった。
ペンを持つと、ポロリと落ちる。
本を持って移動しようとすると、バサリと床に落ちる。
まだその頃は、立つことができ、椅子や車イスに座った姿勢から、床に落ちた物を、自分で拾うことはできた。

けれど、座った状態で、腰をかがめることは、元々あった腰痛をますます痛めた・・・。
歩ける時なら、数秒でパッと拾えた動作なのに、街で小銭を落とせば、もうアウトだ。
平たくて小さな小銭を、指先に力の入らない手で、掴むことさえできない。

しばらくすると、左手の握力は戻ってきたけれど、右利きの右手の握力は戻らなかった。

その頃のわたしは、頭の中は、「できないこと」で溢れていた。
あれもできない。これもできない。
せっかく、自分専用の車イスで、外に出かけられるようになったのに。
わたしは、外に出ることから、避けるようになった。
明日 / メニュー / 昨日 / サイト / 手紙/

My追加