「冬の夕暮れ」
風に揺られるブランコ 誰もいない公園
忘れられた赤い手袋ひとつ ベンチの端っこ
バスから降りた人が白い息 吐きながら帰る ぽつりぽつり つきはじめた街灯
ふと立ち止まる 流れていく時間に 少しだけ逆らいたくて
無くした手袋
あれは雪の色
大切に大切にしていたのに
想いすぎて無くしてしまったもの
どこかで赤い手袋を無くした誰かも 立ち止まっているだろうか
降りはじめた小さな粒を 肩に受けながら
無くしたものの温もりを 想い出しているだろうか
冬の夕暮れに
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ゆうなぎ
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