読書記録

2005年08月16日(火) 戦場から届いた遺書     辺見 じゅん

終戦記念日に合わせたわけではないが
辺見 じゅん の『戦場から届いた遺書』を読んでいる

こういう本は図書館で借りてきて読み切れるものではなく
いつも手元に置いておいて 心乱された時に読みたい
今をどんなに愚痴っても命を脅かされることはないのだから

現代においては遺書は老人や重病の人によって書かれるが、戦争中には、若い人々によって書かれた。戦争はなによりも若者の死を大量に生み出す残酷な営みであるから、若者の遺書は当然多くなる。彼らは、死を前にして、自分の思いを、父母や妻や友人に書き綴った。平和なときでさえあれば春秋に富むべき人生を、無理無体に断ち切られるという状況において、自分の思いを必死で書いた。しっかりとした文章もあれば、文を書きなれない人のたどたどしい文章もあった。

いかに健気な覚悟が記された文面であろうと、兵士たちの遺書には死に赴く者の嘆きがこもっている。そして無名兵士の遺書には、祈りの響きがある。
これらの文章や息子の戦死の知らせに、何日も泣き続け、なおおさまりきれない悲しみのあまり、顔の形が変わってしまった母もいたという。

現代の見方によっては人々の内側から腐ってきているのではないのだろうか・・という状況の中でこそ、戦場での事実というか戦争とは何かを知ることだろう


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fuu [MAIL]