題名にひかれて読もうと思った本だけれど 西行桜は『裁許桜』(さいきょさくら)だった・・・
桜谷の村人は、そのいまわしい記憶を消すため、花を愛した歌人西行の伝説に結びつけて、裁許桜を西行桜と呼ぶようになった・・
世阿弥妖曲集 世阿弥元清 弱冠、二十三歳。父、観阿弥の死により、去年の春に観世座を継いでから、まだ一年にしかならないが、幼少のころから鍛え上げられた世阿弥の芸は、一座の長となった今、まさに大輪の花を開かせようとしていた。
闇源氏物語 源霞━闇源氏の名を知らない者は、今の都にはいない。洛北、船岡山のふもとに住み、人々の依頼を受け、世の災いをなす妖魔を退散させる平安京一の退魔師である。 その力があまりに卓越しているのと、人間ばなれした美貌のため、闇源氏自身が魔性のものではないかと噂する者さえいるほどだ。
元三大師幻奇譚 比叡山の最北、横川香芳谷に、 「元三大師御廟」 と、よばれる古びた廟所がある。その廟所に眠っているのは、”比叡山中興の祖”といわれる第十八代天台座主、慈恵大師良源。 じつは、元三大師は死のまぎわ、極楽往生しないことを誓っていた。それはつまり、成仏しないということである。成仏しない魂は、永遠にこの世をさまよい歩くことになる。古来、鬼とか怨霊とかよばれるのは、そうした地獄へも極楽へも行けない魂魄のことだ。元三大師は、みずから魔道に身を落とすことにより、比叡の山を末代まで守り抜こうと誓ったのである。
妖異とか幻想とかいった世界のことは正直苦手だ。 映画にして大きなスクリーンで見ればさぞかし面白かろうとは思うが、文字で追うのは少々疲れる。 でも古代から中世の頃は病気や災難といったことには加持祈祷により振り払ってきた。そういう意味からも呪禁師や退魔師の幽冥な世界を読むことで、あの時代の側面を知ることもできるのだろう。
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