読書記録

2007年06月12日(火) 末世炎上           諸田 玲子


付け火が横行するあの「この世をば・・・」の藤原道長亡きあとの平安京が舞台になっている
橘音近と在原風見は名門の血筋をひきながらも無為に生きていたが、記憶をなくして二百年前の吉子という女性になってしまった髪奈女を知ってから人生が少しずつ変わっていく

二百年前の応天門炎上は冤罪だったとして、怨堕羅夜叉明王の化身が平安京を滅ぼそうと現世の人間をそそのかす
藤原一族が伴氏や紀氏を弱体化させて仕組んだことだったのか

今でも凶悪な事件が起こるとよく「世も末だ、末世だ」と言われるけれど、いつの世も似たり寄ったりのようだ

財力権力を奪い合い、人を蹴落とすことなどものともしない貴族、甘やかされ、一方で疎外され、心を病んでゆくこどもたち、私利私欲に走る官吏、やる気のない役人、盗人、かっぱらい・・・・・。行き倒れの骸を野犬が食らう都では、人々がすがるものといったら神仏しかない。

貴族を国会議員・大企業、官吏や役人を例えば社会保険庁の職員と置き換えたら、正に昨今の出来事と同じだ・・・

























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