奥州糠部の地でのびのびと育った馬の巧みな十六歳の少女相馬由衣は、従弟の八郎丸が元服するのに付き添い、平泉に赴く。しかし平泉は衣川館で義経が誅殺されたというそんな激震の日々の幕開けだった。由衣らが人目を避けて飛び帰った村も、義経を襲った藤原泰衡勢に焼き討ちにあい、身内は無惨にも息絶えていた。この混乱の中で由衣は伯父から八郎丸が義経の落胤である事実を聞かされたうえに、その後の頼朝の奥州征討軍に平泉は炎上、残った八郎丸も死に由衣は たったひとりになってしまった。
後世に伝えられている歴史の義経の死や、頼朝の死因が落馬説というものをうまく取り入れてほんとうに面白い物語になった。 蝦夷のイサリカイと夫婦になったユイの育てた馬が、鎌倉の頼朝に献上されてその馬から落馬してそれがもとで頼朝が死んだというのだ。 由衣は一族のかたきを討ったのだ。 一般的に権力者というか、力のある者を私は好かないので由衣が頼朝をほんとうに作者の巧い想像力で討ち取ってくれたことに、拍手を送りたい。 脱帽だ!!
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