| 2007年07月04日(水) |
永順・野の花をあつめて 高橋 永順 |
イギリス・アイルランド風日記
半分以上が野の花やアイルランドの町並みの写真で埋められていて、さっと読めるエッセイだった
あまり高くないB&B(ベッドとブレックファースト)という意味の簡易ホテルに泊まりながら、イギリスの田舎を旅していく あまり予定は決めずに自由に旅して、野の花を摘み雑貨を見て、その晩泊まるB&Bの出窓などに摘んだ野の花を飾っている 何かステキだなぁ・・と思う
旅は楽しいことばかりではありません。泊まるところだって、どこのベッドもスプリングは伸びていたり、食事も毎日毎日、塩辛いハムや油物ばかり食べていると胃がだんだんと重くなり、ずっと車に乗っていると背中や首や腰だって疲れてきます。 アイルランドの草原を走っていると、果てしなく続く緑の丘にときおり羊や牛たちがいるばかりで、この景色の連続で他には何もないのです。パラパラと降ってはまたすぐ青い空。花だってそんなにたくさん咲いているわけではないし、本当にやるせないほど、退屈してしまいます。 それでも『嵐が丘』のように、来る日も来る日も強い風と雨と少しの晴れ間、アラン島のように石ばかりでわずかな菜園があるところ、そんな場所も映画や話だけではきっとわからず、どんなふうに強い風なのかしら、どんな石ばかりなのか、この目で、肌で感じてこそわかることだと思います。 白壁の朽ち果てたわらぶき屋根の家を見ると、昔の人々がどんな暮らしをしていたのかしら、とふっと思います。あぁ、私たちの暮らしはなんて幸せなのでしょう。少なくても、昔の人々より食べる物もあふれるほどあります。そして冷たい風の吹く冬でも暖かく暮らせるでしょう。吹き飛ばされてしまいそうな断崖に立って、強い風を身体中に感じると私の生活を反省したり、心の中を洗い流すことが出来そうです。 東京での仕事は毎日毎日が忙しすぎて心の中をみつめる時が少なすぎます。だから、私、疲れても退屈でも旅を続けられるところまで行ってみることにしましょう。
作者・あとがき より
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