読書記録

2007年11月24日(土) 湿地帯               宮尾 登美子



 この作者の書いたものは何冊か読んでいるけれど、自身の生い立ちや歴史に関するものばかりだった。
だからこの物語のようなミステリーを書かれていたことに驚いた。
さらに新人といわれた初期の頃の高知新聞での連載物だということである。
まだ ご自身の方向を見つけておられない頃だったのだろうか、などと私のように今だにいろんなことを知らないでいる者には思わされれてしまうのだ。

東京から高知県庁薬事課に赴任した青年課長小杉啓を待っていた、薬品業界の官民癒着のカラクリ、そして謎の殺人事件。義憤にかられ立ち向かう小杉は、一方で道ならぬ恋愛の渦にのみ込まれていく。
が、その道ならぬ恋の相手が殺意をもった犯人ではないが、 過失致死には問われる立場だった。
そういう意味ではミステリーではあるけれど、あまりのあっさりとした謎解きにはこういう方法の締めくくりもあるのだな、と感じた。



















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