読書記録

2008年06月22日(日) 節斎               飯田 全紀


 我が奈良県にはあまり偉人はいないと、私の周りの人間の間ではそう思っていたが、あの幕末の吉田松陰までが師と仰いだ人物がいたのだ

大和五條が生んだ幕末維新の大儒森田節斎。吉田松陰までが師と仰いだほどの男。松陰は桜のように美しく散った。そして名を残した。節斎は命を重んじぶざまに逃げ回った。そして裏切り者と罵られた。
節斎と松陰ら志士達の生と死。時代の激流に生きた思いと限界。節斎に関わった多才な人々の群像。様々な出会いと別れ。節斎はなぜ、生に固執したのか。どうして維新の先駆け天誅組に加わらなかったのか。なぜに天皇への認識を変えていったのか?
そんな疑問からこの物語は書かれたようだ。
実在した証しのない初恋の女性、いつも心の中にいたおここという女性。
おここに始まりおここで終わった物語だった。

日本人は悲劇的な死を好み、憂国の死を美化しすぎるのではないか・・・。









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