読書記録

2009年01月16日(金) 海は哀し             内村 幹子



 
 壇ノ浦で入水した安徳天皇の異母弟・後鳥羽上皇。
いわゆる<承久の変>といわれた鎌倉幕府打倒の兵を挙げるも、敗れて隠岐に配流された。
その悲劇的な生涯にかかわった かつては修明門院という女院号を賜った重子と、そして慈円とのそれぞれの表舞台から降りたひとたちの老いを感じながらの日々が物語られている。
それぞれが理不尽とも不条理とも言いようのない現実の中で身悶えしているのだ。



 そして 『花、残映』

佐渡に流された世阿弥が綴られている。
その佐渡には後鳥羽上皇と重子との子供である順徳上皇が配流されていた
その 順徳上皇が配流された190年後に世阿弥も時の将軍足利義教に疎まれて流されたのだ。
同じ流人としての寂寥感からか、世阿弥は順徳上皇の配所を訪ねるのだった。そして今は廃墟となっている場所でお手植えの桜の老巨木を見る。



隠岐と佐渡・・。
どちらも 今でさえ海を隔てたはるか遠く・・。
重子や世阿弥が生きた時代なら尚更に・・。

それにしても・・
人は 明日のことなどわからない現世に生きて
その時々で感じた思いのなかで生きるしかないのだ・・。















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