読書記録

2009年04月02日(木) 炎環             永井 路子



 1台の馬車につけられた数頭の馬が、思い思いの方向に車を引張ろうとするように、一人一人が主役のつもりでひしめきあい傷つけあううちに、いつの間にか流れが変えられてゆく―

作者があとがきに記したように、同じ時代に同じ場所で生きた四編の物語が書かれている。

○悪禅師 
義経と同腹で京の醍醐寺に預けられていた今若が、異母兄頼朝の旗揚げをきいて得度して全成と名乗っていたにもかかわらず矢も盾も堪らず駆けつけたのだった。

○黒雪賦
石橋山の戦いで頼朝を救ったことから重用された梶原景時が主人公。
鎌倉幕府では権勢を振るったが頼朝の死後に追放され、梶原景時の変として一族とともに追放された。

○いもうと
北条政子の妹保子が主人公。
全成と夫婦になって頼朝の子、幼名千万(実朝)の乳母夫となる。

○覇樹
政子の弟の四郎義時。頼朝の死後、鎌倉幕府は実質政子の父である時政から四郎、五郎といった北条氏が実権を握っていく。



まぁ、それにしても戦国時代に負けず劣らず明日は我が身の世界であることか。きのう勝っても明日は寝首を掻かれて敗残の将・・。












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