読書記録

2009年06月21日(日) 山流し、さればこそ          諸田 玲子

小普請世話役として出世の道を歩み始めていたはずの矢木沢数馬は、突然、通称「山流し」と呼ばれる甲府勤番を命じられた。
同僚の讒言による左遷だった。家族と共に甲府に下った数馬は、商いで繁栄する城下とは裏腹に、荒んだ武士たちの姿を目にする。事なかれ主義の上役や、乱暴狼籍を働く勤番衆たちに新参いじめに会う。
そして頻発する商家を狙った不思議な盗賊騒ぎと・・。


 治安を守るべき武士が町人をいじめ、刀を振り回す。
女史を手篭めにする。
これでは浪人や流れ者よりひどい。

自分はこれまでずっと橋のこちら側にいた。
向こう側のことなど、一度として考えたことがなかった・・・。

山が夕日に染まっていれば、だれもが目を向ける。
山の向こうになにがあるか覗いて見たくなる。
燃え盛る太陽があるとわかれば、山流し、さにあらず・・・いや、
山流し、さればこそ桃源郷だ。


物語というよりは痛快時代劇という感じで、事件は解決するし最期は住めば都になるのだ。
寛政年間から江戸の最期までの物語だったが、最終章が一番よかったかな。









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