読書記録

2012年10月25日(木) 消えた女   彫師伊之助捕物覚え         藤沢 周平


 主人公伊之助は岡っ引きをやめ、いまは版木彫りの職人の身でありながら、のっぴきならない依頼を受けて、なかば巻き込まれるように危険な人探しにのり出していく。

人探しとは義理ある弥八という先輩の岡っ引きの娘おようだった。
子供のころから知っていたおよう。母親が小さいときに病気で死に、親一人、娘一人の境遇で、途中から不良とつき合ってグレはじめ、自分を裏切った女房とおなじように、悪い男と一緒になって、消えてしまった若い薄倖な女の面影が、伊之助を危険な人探しの迷路に誘いこんだ。

幼なじみの飯屋おまさや同心半沢など、心通う人たちの協力もあって無事おようを苦界から救いだすことができた。



だがいつも、しあわせというものは、そう長くはつづかないのだ。そして気づいたときには、そのしあわせに、つくろいようもないほど大きな穴があいていたということも多いのである。










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