| 2025年10月27日(月) |
定命 / 瀬戸内 寂聴 |
寂聴の死後、寂庵の書斎からおびただしい句稿が見つかった
小説とちがい、私にとって俳句は無責任な愉しみだけを与えてくれるので 今では無二の友になりました 死ぬまでつづけるつもりです
落椿形くずさずりんとして
七夕や他人には語れぬ願いごと
捨てきれぬ煩悩ひとつ去年今年
死にぎわを描く癖つく冬寂庵
死ぬる日もひとりがよろし陽だけ照れ
願わくばうらうら死なん黄のさくら
菖蒲湯に全身ゆだねわが定命
わが逝くを誰にも知らすなほたるの夜
定命(生まれたときに天から定められた寿命のこと)
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