読書記録

2025年11月02日(日) 雫 / 寺地 はるな




 中学の卒業制作で出会った4人の同級生たち。
 30年後、ビルの取り壊しに伴ってひとつのジュエリーリフォーム会社が営業を終え、物語は五年ごとの過去にシフトしていく形で構成されている。
日常のささいな不安や違和感を丁寧にすくい取る、“つながり”と再生の物語。



 わたしはいつもまちがったほうを選ぶ。だから、自分で選ばないほうがましなんじゃないか。そう、思いはじめていたけど、それこそがきっとまちがいだった。
 人生は0×クイズではないから、そんなにわかりやすい二択にはなっていない。最初は正解だと思ったものが長い時間をかけて不正解になっていくことだって、ものかしたらあるのかもしれない。その逆もまた。正解か不正解かを決めるのは、選択したあとの自分の生きかただ。


晴れてよかった。人々は人生の折々でそう口にする。でも、わたしは雨の日が好きだ。雨の雫は空から地へと降り注ぎ、やがてあつまり、川となり、海に流れつき、また空に帰る。なにかが終わって、なにかがまたはじまる。傘を開いて、一歩踏み出した。
 今日が、雨でよかった。


 きれいな青い色のしずくの形をしたネックレス、いいだろうなぁ。









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