| 2025年11月07日(金) |
凍空と日だまりと / あさの あつこ |
おもみいたします
5歳で光を失い、揉み療治を生業としているお梅。1年先まで申し込みが埋まっているが、今すぐ主の腕が動くように療治してほしいという武士が現れた。彼から「張りつめた者」の気配を感じたお梅は…。『読楽』連載を加筆修正。
十丸 お梅の用心棒 人には白い大きな犬に見えている
先生 お梅に揉み師の才を見出した者 人には白茶の天竺鼠に見えている
お梅が盲いたときから、ずっとお梅の近くにいて、ときに支え、ときに励まし、ときに救ってくれた。先生と十丸がいなければ、お梅は江戸で生きてはいけなかっただろう。
心のままに生きる。それがどれほど難儀なことか、お梅だってわかっている。心のままに生きることが正しいわけでも、幸せなわけでもないとも解している。けれど、人は心に背いて生き続ければ必ず歪む。心身がねじ曲がり、軋む。酷ければ折れて、砕け散る。
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