なか杉こうの日記
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2005年06月21日(火) 絵の具

帰り電車の中から窓の外を見たら
空が淡むらさきだった。こんな言葉あるかどうかわからない。
むらさきと赤と紺と混じりあったような混沌とした色。
絵の具を混ぜたらこんな色になるかと思った。
しばし見とれていた。
昼の水色から黒に次第に変わる、そのグラジュエーションが
わかるような空はあるが、今日の空は全体が
その、淡むらさきだった。
筆でぐじゃぐしゃぐじゃと描き回したような。

むかしアメリカの大学にいたころ、美術室で夜遅くまで絵を書いている
少女がいた。抜群に絵のうまい人で、名をアリスと言った。金髪の長い髪。
おじょうさん、と言った感じで不思議の国のアリスのように、かわいい。
信じられないくらい、かわいかった。
美術室で夜中まで絵を描いていると言っていた。いくらその頃とはいえ、よく恐くないなあと思ったものだ。
絵の模写をしていたときだったか、彼女に誰の模写をするの、と聞いたらなんだかわからない名前をいった。「あ、そう」と言ってあとからよく考えたらレオナルド・ダ・ビンチのことだった。発音が全然違うからわからなかったのである。きっと彼女は東洋人だからダビンチのことも知らないのかも、と思ったかもしれない。
 
大学のキャンパスでは夜中まで小さな噴水が水を吹き上げていた。七色に光る噴水。そのそばを通って寮に帰った。


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