なか杉こうの日記
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2006年05月20日(土) 【詩】雨の音

雨が降っている
すごく降っている
前のとおりを
バチャバチャと音を立て
車が走っていく
雨の音は好きだ
ときには
嵐の音さえ。
サッシにあたる雨粒の音
風の響き
ゴォーッゴォーッという音を聞いていると
どこかとおくへ運んでいかれそうで
からだがフワッと浮き上がる
むかしガラス戸を
風は叩いて吹き抜けた
母はいつもそんなとき
眠れなくなるのだった
風だねえ、いやだねえ、と
瞳を見開いて言った
きっとなにか
連れ去られるということで
嫌な思い出があったのだ
ざあっと通り過ぎる雨
かしかしかし、とサッシを鳴らす音
台風の突風でさえ
嫌いでないこともある
台風の目に落ち込んだときの
雲間から出てきた
明るい月。
今夜もときおり
さあっと音を立て
過ぎ行く
さあっさあっと
わたしのこころを掃除するように
吹き抜けてゆく


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