なか杉こうの日記
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青春18きっぷの雑誌が三種類ほど本屋に積んであってその一冊を買った。 つまり、少年少女の頃の旅を再び・・・というやつである。
その本の表紙は信濃のとある駅。青年がひとり、細いホームに立ってホームの先を見つめている。ベンチにはひとり旅らしき女性が帽子をかぶって足を組んですわり、横に鞄が置いてある。
ああ、こんな旅!お金はさっぱりないのに時間と情熱だけはいくらでもあって、何を考えようかと思い悩みつつ出かけた旅。いや、考えることはたっぷりあったのだ。恋のこと、人生のこと、勉強のこと。
茫漠とした、旅。ともだちとはしゃぎながらの旅。ユースホステル。夜行列車。
青春、とくっきり現在と切り離して懐かしむことのできる人は幸せだ。わたしはその頃と今とはずるずるとつながっている。
ああ、あの二三年は辛かった、恋に悩み。でもそこから脱却して結婚し子供ができ、仕事も大変だったが今はなんとか、などなど人生を区切れる人は、幸せだ。
茫漠とした、あの頃。その景色が今は失われているだけで、こころは、まだあるものなので。わたしにとって青春18きっぷの旅は戻ろうと思えばすぐにそこにある。それはいいことでもなんでもないようだ。そんなふうなのはきっとわたしぐらいだろうからね。
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