2012年12月18日(火) |
■クリスマスに話したいいい話、その5…小さな村の村長が見せたかったものは? |
今日は、こちらの本からのお話紹介です。 ちょっといい話が100ほど、おさめられています。
「ちょっといい話」 佐藤 光浩著
やや古い話が多い「いい話」集ですが、 短めで読みやすいので、すぐに読み切れ、 穏やかな気持ちを取り戻すことができると思います。
これからの季節に読むにはいいですし、 気持ちがざわざわするとき、 落ち込んでいるときなどにも、 読んでみてくださいね。 今日は、この本の中から、
「ああ、よかった、よかった、 無駄だと言われることもあるけど、 これは、今も本当に役立っていて、 そして、村を変えたんだね」
と、とても嬉しく思った話です。
小さな村の村長が見せたかった、 夢のような光景 《奇跡の井戸水》 (89番目の話より)
日本はこれまで、多くの 開発途上国にODA(政府開発援助)を供与し、 経済や社会の発展、生活の向上に役立てるための 資金や技術の提供を行ってきました。
しかし、ただ援助をして生活を支援するだけでは、 本当の発展は望めません。
1996年、 当時の駐セネガル大使のもとに、 手紙が届けられます。 それは、9年前に深井戸を掘って 給水施設を無償援助した、 小さな村の村長からでした。
その村は、ずっと昔から 放牧をして暮らしていました。 しかし、水資源が不足しているため、 貯めておいた雨水がなくなると、 男性は家畜を連れて水を求める長い旅に出てしまい、 残された女性と子どもは、村に一つしかない 浅い井戸の水でしのがなければなりませんでした。
ところが1970年代に、 その井戸も枯渇。
彼女たちは8キロ離れた隣村まで 水をもらいにいくのですが、 そこの水が汚れていたため、 多くの子どもたちが病に倒れてしまったのです。
1983年、 日本の技術者が村を訪れます。 そして、地下130メートルの 深井戸が掘られ、 3カ所の共同水くみ場と 4カ所の家畜用水飼い場も 設置されました。
村民はもちろん、 家畜にもたっぷりと水を 与えられるようになったのです。 それは夢のような出来事だったといいます。
しかし、大使が実際に 村を訪れてみると、 もっと夢のような状況が 広がっていたのです。
共同水くみ場の蛇口は、 子どもたちが水を無駄遣いしないよう、 夜間になると水道管理人が しっかりと鍵をかけて閉鎖。
さらに村民たちが水道の使用料を出し合い、 集まったお金をポンプ保守技師の給与や 部品の調達、燃料費などに利用していました。
さらに、 ストックされたお金が大きくなると、 パイプの延長工事を行い、 学校や保健所に水を引き、 さらに野菜畑や果樹園にも延ばし、 収穫量を増やしていました。
若者たちの仕事も増え、 さらに貯水池をつくって、 魚の養殖をしようという計画まで あるというのです。
ずっと放牧生活を続け、 自然の成り行きに身を任せてきた村民たち。 しかし、井戸ができてから、 村民たちが生活を向上させようと 知恵を出し合い、 努力するようになりました。
そう、 村長が大使に見せたかったのは、 井戸からあふれ続ける水でもなければ、 喜んでいる村民たちの姿でもありません。 自分たちの努力の成果を 見てもらいたかったのです。
(ここまで引用)
セネガル大使も、この光景をみて、 感動し、とても嬉しかったでしょうね。 この話は、大使によって広がったと 思われますので、そう思います。
また、この深井戸を掘った方も、 この話を聞いたら、嬉しかったでしょうね。 やった甲斐がありましたね。
国によっては、深井戸を掘って、 争いになってしまうこともあるとか… セネガルの村は、本当によかったと思いました。 村長の力もあったと思いますし、 村民の頑張りもあったと思います。
今は、魚の養殖をしているんでしょうか。 この後の話がわかれば、また書きますね。
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