ずいずいずっころばし
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2005年05月19日(木) 花ありて 君あり

わが家の庭には想い出深い木が一本ある。

木瓜の木だ。

花は白地にほのかな淡い赤がにじむように咲いて美しい。

入院している母に庭の木瓜の花を一枝とって持っていった。

花瓶にいけるとそこだけがあっというまにわが家の庭と化した。

「家に帰ったような気がするわ」と母は喜んだ。

髪をきちんと整えてほほえんでいた母は、病室にはふつりあいな程美しかった。

「爪を切ってちょうだい」と母が言った。

爪切りはどこを捜してもなかった。

買いに行けば良かったのにそうしなかった。

「今度ね」と私は愚かにも答えた。

その「今度ね」はもう二度とこなかったのに・・・

木瓜の花を見るたびにいつもにじんで見えなくなる


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