浅田農産の社長夫婦が自殺をした。 本格的な警察の捜査が入る直前のことだった言う。 世間から向けられる非難中傷に耐え切れなかったのか、自分の起こした大事件の社会的責任を取ったつもりなのか。 もし後者であったら、果たして自殺という行為で責任を取れたことになったのだろうか…。疑問に残るところである。 20代の血気盛んな頃であったら、私は「卑怯だ!無責任だ!」とまくし立てたかもしれない。 しかしある程度歳を重ねた今では、ただざらざらしたものが、胸に残るだけである。 恐らくこの夫婦は、自分達の将来がもう見えなかったのであろう。 先が真っ暗で、そこに一条の光も見出せなかったに違いない。
一年位前であっただろうか。やはり大きな事件で、当事者が自殺をしてしまったことがある。 遺書の言葉は「取り返しのつかない事をしてしまった…」というものだった。 これを聞いたある番組の女性コメンテーターが、こんなことを言っていた。 「人生、取り返しのつかないことなんてない!」 それ以来、この言葉は私の座右の銘となっている。 私もそう思う。そう思いたい。 どんなに苦境に立たされても、悠々と乗り越えられる強い人間になりたいと切に思う。
「強い」ということは、やはり人間として幸福なことではないだろうか。 どうしたら強くなれるのか…? 私は勇気を持つことだと思っている。 現実を客観的に受け入れる勇気。 間違いを真摯に受け止める勇気。 失策を姑息に隠さない勇気。 非難を受け止める勇気。 償いをする勇気。 そして、また一歩踏み出す勇気。 …などなど。 以前私は友人に「勇気がないから出来ない。」と愚痴ったことがある。 そうしたら「勇気はあるものではなくて、出すものだ。」と諭された。 いい言葉だと思った。その通りだと思った。
自分の身体にまだ一縷の勇気が残っているのなら、それを搾り出そう。 臆病であったら、人生負けてしまう…。 せっかく生きているのだ。自分に勝ちたい。
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