2〜3日少し過ごしやすい日が続いたと思ったら今日はまた暑い。夏なので恐い話。とは言ってもオバケの類ではない。 私は20代の頃から10年近く独り暮らしをしていたことは前にも書いたと思うが、まぁその間色んなことがあった(笑)。様々な住人達との出会いや別れを繰り返し、良きにつけ悪しきにつけ、それまでに経験したことのないことを経験させてもらった。この頃の話だけでこの日記は随分と書けるのではないかと…(苦笑)。
女性の独り暮らしで一番気を付けなければならないのはやはり変質者だろう。そこまでいくと事件になってしまうが、セコイのぞきなども気味の悪いものだ。 友人達もかつて独り暮らしをしていた者達も少なくないので、この手の話に花を咲かせた。キッチンの窓を開けたら窓の横に男がぺタ〜っと張り付いていたと言う笑えるものやら、サスペンスドラマの一場面みたいなものもある。 夜道を歩いていたら前に大学生と思しき男の子が歩いてたそうだ。その内その男の子がスニーカーの紐を結び直すためにしゃがみ込んだ。彼女は何となくイヤ〜な気がしたそうだ。一瞬男の子を抜かすがどうか迷ったが、○○街道と言うかなり車の通りの激しい道路に沿った歩道であったため、こんな所で襲うわけもないだろうと判断し、そのまま抜かした。 マンションの入り口で外を振り返った時、遠くに先程の男の子の姿が見えたような気がした。でもつけられている気配がしなかったし、ビクビクしていたから目の錯覚だと自分を納得させ、そのままエレベーターで自分の部屋の階まで上がって行った。ところがエレベーターを降りると深夜にもかかわらずそのエレベーターがすぐに下へ戻って行った。ここで彼女は直感した。やはりつけられていたのだと! 自分の部屋に駆け込み、電気も点けずにドアの小さな穴から外を窺っていた。そのマンションはL字型になっており、彼女の部屋は丁度エレベーターの正面にあたる。でも暗いし遠いしよく見えないので、仕方なしにドアをそ〜っと小さく開けて確認した。何でこんな時にドアを開けるのかと思うだろうが、人間はこのような状況下では開けるものなのである。私も外で物音がした時はもちろん恐いのだが、確認しなければ気持ちが治まらずドアを開けて調べたものだ。 やはり先程の男の子だったそうだ。廊下を歩きながらどの部屋かあたりをつけている。彼女は再びそ〜っとドアを閉め、鍵をかけ、カレが近くに住んでいるにもかかわらず、なんと遠い郷里の父親に助けを求め電話をした。この話を聞いた時、そのカレが非常に気の毒に思えた(苦笑)。父親だってどうすることも出来ず「ドアを開けなければ絶対大丈夫だから」の一点張りだった。 もう泣き出しそうになっていたら、ピポ〜ンと呼び鈴が鳴った。こうなるともうまな板の上の鯉で、肝が据わり「何でしょうか?」と部屋の中から冷静に対応出来たと言う。(もちろんドアは閉めたままである) 「あの…少しお話しをしたいんですけど…」 「今何時だと思っているんですかぁ?警察を呼びますよ!」 「スイマセン…。」 あっさりその男は去って行ったそうだ。この後もまたやって来るかも知れないと、カレに何日か泊ってもらったらしいが(やっとここでカレが活躍出来た)、何も起こらなかった。
さて私の話。 春の夜、キッチンにいたらカタッと外で小さな音がしたような気がした。一瞬「うん?」と思ったが、その時は気に留めなかった。 キッチンを挟んで部屋がある。私は出来るだけドアを背に向けて座らない。何となく気味が悪いからだ。すぐにドアを確認出来る状態でいたい。 テレビを見ていた。しかし人間は見られていると何となくその気配を感じるものだ。 ドアを見た。すぐにおかしいと違和感を感じた。 新聞受けの入り口の蓋がいつもと違うのだ。 …開いているのではないか!?と思った瞬間、その開いている小さな入り口の向こうに、自分を見ている2つの目玉があった。
次の日大家さんがその入り口にガムテープをベタベタに貼った。おかげでそれ以来毎朝新聞をわざわざ下のポストまで取りに行くはめになったが、あの恐怖から比べればこんな手間は屁とも思わなかった。
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