2004年08月21日(土) |
舞台「お気に召すまま」 |
先週蜷川さん演出の舞台「お気に召すまま」を観に行った。とても楽しい舞台であった。 前回の「タイタスアンドロニカス」もそうだったが、舞台の始まりの演出が面白かった。今回の「お気に召すまま」では、まず出演者全員が舞台の後方から駆け降りてきて一斉に観客にご挨拶。そして舞台上で第一幕に出演する役者達だけが衣装に着換えるのだ。馬の脚役の人達は馬の着包みを被っていた(笑)。でもこの馬の動きが本当の馬のようで…上手かったなぁ。
今回の役者は全て男優で固めている。女性役も男優が演じるのだ。ロザリンドには成宮寛貴さんが、シーリアには月川勇気さんがそれぞれ演じていた。 成宮さんは大きな少したれ気味の目が愛らしく、おまけに余りがっちりとした体格ではないので、声を除けばほぼ女性に見える。ロザリンドは聡明な女性だがそこにはお茶目なところもあり、成宮さんのロザリンドみたいな女性がいたら、同性から見ても可愛らしい女性だと好感を持つのではないかと思う。 ロザリンドは劇中男装をして男の振りをする。よって男が“男に変装する女役”を演じると言う非常に複雑な芝居をしなければならないのだが、第三者に自分が女であることがバレないように懸命に男を演じるロザリンドを演じる成宮さん(←ややこしい…)は、その計算された大袈裟な演技が滑稽で、上手く表現していたと思う。
一方月川さんは何かしら不思議な雰囲気を持っている役者さんである。物腰はさすがに優雅であった。シーリアが疲労の余り足を広げた行儀の悪い格好で倒れ込んでしまうシーンがあったが、その足を広げ寝転んでいる姿さえも女性のそれだった。 抑揚のない喋りと瞬きさえもしていないような固まった表情が(シーリアがニヤッと笑ったシーンは驚いた)、何やら人間には思えず、からくり人形でも見ているような気分になった。
そしてもう1人の主役のオーランド。これは小栗旬さん。兎に角小栗さんは素敵だった。特に最後の婚礼の際の黒のスーツにはヤラレてしまった(苦笑)。
この演目の舞台の半分以上は「アーデンの森」という所で繰り広げられる。その森の舞台装置が綺麗で、本当に妖精でも現れるのではないかと錯覚するくらい幻想的だった。 登場人物達は皆アーデンの森に集まってくる。そこには世間の物欲やら名誉欲なんてものから解放された自由な人間達が住んでいる。 そこは傷ついた人間を癒してくれる。そこは皆がハッピーになれる。そんな不思議な場所なのだ。 劇中有名な台詞が出てくる。「全世界が1つの舞台…人間は全て役者に過ぎない」(←正確ではないかもしれません)。 自分はどんな人生を演じていくことになるのだろうか…? 現実の世界にアーデンの森は存在しない。ないのだから、所詮自分で創っていくしかないのだと思う。自身の中にアーデンの森を創って、傷ついた自分を再生させていく…。 そうしたら、人生の第三幕、四幕、五幕と…もしかしたらいつの日か自分の演じたい役を思うままに演じられる人間になれるかもしれない。 楽しくて、少し元気が沸いてくる舞台だった。
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「お気に召すまま」のパンフレットに竜也くんの名前が出ていた。 1つは小栗さんのインタビューの中。「ハムレット」の時は竜也くんの凄さだけを見せつけられたので、自分も今回は稽古の初日が始まる前に全て台詞を覚えていったと言うもの(笑)。こういうことは一番最初にやって見せた人(もちろん竜也くんのことよん)がカッコいいのである。
もう1つ。この舞台は子役の少年が2人出演しているのだが、その内の1人の少年のコメント。目標にしている(尊敬しているだったかな?)役者は誰ですか?と言う質問に「藤原竜也さん」と答えていた。おォ〜、もう竜也くんは少年の目標となる役者になっているのか…。ちょと感動。
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