[PR] 看護師 転職 B-SIDE DISC7 
B-SIDE DISC7 
杏子



 再び纏う メッキ

哀しいことに 切な過ぎるほどに
私は 純真無垢な 少女 には

なれませんでした。







折り返しを迎えた 恋愛。



これは そういう恋愛ですから。

あなたは、何も考えずに
全部忘れて 今夜は眠ればいいんです。




自身の 弱気 を誤魔化すように

私は それまで以上の冷静さで
饒舌に言葉を弾き出していました。



全部忘れてって …何??
どういう意味??

ぜんぜん わからないよ…








 


全部 全部分かっていますから
何も心配しなくて いいんです。

大丈夫、大丈夫。




なだめるように あやすように

大丈夫 を私は繰り返しました。




…激しく胸が痛みます。




その 大丈夫 は
彼への 慈愛と見せかけて

自身の弱気を誤魔化すために 

擦り込むように
再び たっぷりと塗り重ねられていくメッキ。



それは 私の
真芯にある 本当の無情さを

象徴するようでした。




確かに彼は

「32歳の 男の人」 でありました。


私よりも7年も多くの月日を重ね
褐色の太い 骨ばった右手をもった


「32歳の 男の人」 であった はず でした。





けれども






自分の強い感情がそこにあれば
それこそが真実であると
心から信じきってしまえる


そういう 芯を持った

美しい 少年…



その姿が 痛いほど焼きついて離れません。







杏子にはなぁ…

他の誰にも絶対見せたことのない
本当の自分みたいなもんを

全部 見せれてたんやけどなぁ…





最後の電話で 彼がつぶやいた言葉が

思い出されます。




私が見た その少年のような姿が
彼の誰にも見せたことのない

本当の彼であったのか…





なぜ 結婚してしまったのですか?

なぜ 大阪で暮らしているのですか?


なぜ 私はあなたに

単純に 愛してる が言えないのでしょうか…





ただ単純に心からの 愛してる が言える

そんな恋愛がしたいだけ なんですよ…?







メッキに邪魔されて

弾き出すことさえ許されなかった



言葉たち。












2008年09月12日(金)
初日 最新 目次 MAIL PHOTO BBS


My追加