* たいよう暦*
日記目次|過去日記|未来日記
朝、家を出るときは、ひどい空の色ではあったけれど、まだ雨は降っていなかった。 会社についても、まだ、降っていない。 床から天井までが一枚ガラスだから、外がよく見える。 12階からの眺めは、ちょっとお天気の悪い日以外のなにもんでもない。
「今、台風どこにおるんや?」 何度もインターネットにアクセスする人たち。 「おっ、今徳島らしいぞ」 「こっち来んで」 話だけ聞いていると、なんのことを、誰のことをしゃべっているのか想像もつかない。 やたらと擬人化されている。 「はよ、こいこい」なんていう人もいる。
12時前後が一番ひどかったなあ。 それまで、普通の雨の日の様子だったのに、風がどんどん出てきて、雨の方向が縦横無尽にかわった。 12階だから、風の流れがよく見える。 下を見下ろすと、御堂筋の銀杏並木が、おもしろいように揺れている。 傘がひっくりかえったりしている人も、いる。 えらいこっちゃ。大変なことになってるで。 見下ろすガラスも、そのうちひどい雨が打ち付けられて、まるで水槽の中にいるみたいになってしまった。
学校の時はよかったよなあ。 大雨洪水警報出てれば休みだったもん。 会社に勤めていると、そんなわけにはいかない。 みーんな、ふつーの顔して出勤してきて、ふつーの顔して机について、ふつーの顔して働いている。 一番びっくりしたのは、阪神大震災の時。 結構多くの人が、ふつーの顔・・・こそはしていないけれど、出勤していた。 電車が止まっても、何駅か歩いてきていた。 自分もそうやって会社にたどりついたわけだけれど、なんでここまでして会社に来てるんやろ、みんな(自分もだけど・・・)・・・ってすごく不思議だった。 なんなんだろう、「会社」ってところは。 なんだか、ヘンな世界だよなあ。
そんなことを思いながら一日仕事をしている間に、あっという間に台風は去っていき、夜の7時にはすごいすごい夕焼けが始まった。 すごい。 ほんと、すごい。 台風の影響で、雲がたくさん出ていた。 そこに、反射する夕焼けの光、光、光・・・! まるで映画の中に出てくるような、すごい強い光をもった夕焼けだった。 みんなで口をあんぐりさせながら、しばらく眺めていた。
帰り道、雨はもちろんやんでいた。 だから、帰りも、傘はなし。
なんか、ヘンなの。 台風の一日だったって、気がしない。 なんだか、特別じゃない、ふつうの一日だったみたいでした。
|