* たいよう暦*
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2004年07月14日(水) 二胡

胡弓という楽器を意識したのは、高校2年生の夏だ。
真夏の京都に遊びに行った時、京極通りを歩いていると古い楽器やさんの前に「胡弓教えます」と看板が出ていた。
「わたし、胡弓ってひいてみたいなって思っててん」
友人はそういって、楽器やさんをのぞきこんだ。
その時に店先に飾られているのを見たのが、最初。
「いい音すんねんでぇ」
そう言っていた最近会うこともほとんどない彼女だけれど、あれから、胡弓はやっているのかな。

その胡弓のコンサートを聞きにいかない?と誘われて今日は、中国楽器のコンサートに行ってきた。
中国楽器・・・というと、少し前にはやった女子十二楽坊。
津軽三味線で、ロックを弾いたりする昨今だから、中国楽器で西洋音楽をやってもおかしくはないんだけれど、あの独特の響きと西洋音楽の融合が、とても新鮮だった。
でも、今日は、違う。
もっと、もっと、より「らしさ」の出たコンサート。

二胡というたった二弦だけの楽器。
その胡弓がメインで、小さな小さなホールで、10曲ほど「らしい」音楽を聞かせてくれるコンサートでした。
一番前の席に座ると、奏者の指使いや、顔の表情、息づかいまでがわかってしまうほどのホールで、最初はなんだかこちらが緊張してしまった。
でも、奏者が出てきて、弦をかまえて、一音目が響いた瞬間、あっという間に緊張はほどけた。
というか、忘れてしまった。
今まで聞いたどんな弦楽器よりも、素直な音が、ホール中を包み込む。
演奏とともに、奏者の背後に、大河が見えた。
悠々とした流れや、草のにおいや、風の音が聞こえてくるような気がした。

一瞬の間のあと、演奏を終えた奏者。
一瞬の間のあと、拍手が響いた。

みんな、一緒に同じところを、旅していたに違いない。
たった二本の弦に、ずいぶん遠くまで連れていってもらえるものだ。

その小さな楽器ひとつで、聴衆を惹き付けた奏者は、それから何度もいろんな場所へさらっていってくれた。
たった二時間。
でも、とってもいい時間でした。




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