* たいよう暦*
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母がこの間パリに行っていたのは、遊びにいっていたわけではない。 母の親友の母(92才のおばあちゃん)が作った豆人形の個展がパリでされることになり、そのお手伝いに行っていたのだ。
おばあちゃんの作る豆人形は、とても小さく、とても繊細でこわれやすい。 パリで個展をするからといって、荷物便で運べない。壊れてしまう。 これは手荷物で持ち込むしかない。 ということで、善意の友人達があつまり、「人形の運び屋」を買ってでた。 運び屋は15人ほど。その運び屋たちのおかげで個展が開催できたと母の親友は喜んでいた。
おばあちゃんの豆人形。小さなものなのに、とても存在感がある。 味がある。92才を過ぎてなお、表現することを続けているおばあちゃんは、とても素敵だなあと思う。
縁あってパリで個展をひらいたあと、縁あってシラク大統領に一体プレゼントされた。
そして、今日、シラク大統領からお礼の手紙が届いたそうだ。
「貴使は私に対する繊細なご配慮をもって、相撲の力士を表現した紙製のミニチュアをお届けくださいました。 私を感動させてくれたこの友好的行為につき、貴使に対し熱烈に感謝いたします。 今日の、また永遠の日本を創り上げるこれらの人々に、壊れやすい紙の作品によってま たの生命を授けられるマサコ・ムトーさま(おばあちゃんのこと)に対し、私が感服していることををお伝えくださることを希望します。」
一国の大統領からの手紙。 おばあちゃん、とても喜んだそうだ。 そして、その個展を作り上げるのに協力した「素人スタッフ」一堂も、とてもとても喜んでいた。
大勢の人の手を通じて、国境をこえたおばあちゃんの豆人形。 いつか日本で個展をやる時は、必ず見にいきたいなあ、と思う。
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