* たいよう暦*
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2004年09月16日(木) おいしい生活

社会人になって一時期、困ったことに特定のものしか食べられなくなったことがある。
あの時期は、自分にとっては短かったけれど、友人にとっては長かったようだ。
「あの時、ほんとうにサラダとプリンばっかり食べて夏を乗り切ってたよね」
と、夏にもしっかりごはんを食べるようになった私の姿を見て、何度もいう。

そうだ。
あの時は、本当に毎日毎日お昼ごはんにサラダとプリンだけを食べていた。
気が向くとスープや冷奴をつけていたけれど、あくまで主食はサラダとプリンだった。
あれはなんだったのだろう。
なにかが自分の中で、がらがらとくずれるかんじ。それに頼らなければ、なんともならない感じ。自分の中でなにかがあったのかもしれない。でも、いまだに自分のことであるのにわからない。

ところがあるとき、つきものが落ちたように、あっというまにごはんを食べるようになった。
お昼ごはんに、サラダとプリンを買いにいくことはなくなった。普通にお弁当も持っていくようになった。
あれは、秋の風が吹き始めたころ。
突然、おいしいものを食べたくなったのだ。
たきたてのごはんの、あったかい湯気。
ことこと煮込んだ煮物のうまみ。
そんなものが、恋しくなり、食べてみるとほんとうにあっという間に体にしみいった。
そして、自分に対してひどいことをしていた食生活は、なんとか終わりになった。
今は、いつでもどこでも、おいしいものを、おいしくいただけるようになった。
ちょっぴり夏ばてすると、やっぱりサラダやプリンにたよってしまうこともあるけれど、それに依存してしまうことはなくなった。
秋の風は、私においしい生活を取り戻させてくれたのだと思う・・・。

・・・というのを、今日さんまを食べながら思い出した。
さんま。秋の味。
あのまま、プリンとサラダの生活を続けなくてよかったと、この秋の味覚を味わうと本当にそう思う。
おいしい生活は、ゆたかな生活だ。


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