* たいよう暦*
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生まれて初めてみた競馬というものが、かの有名なオグリキャップの引退レースであった有馬記念。
その時まで「競馬」というものを一度も見たことがなかった私は、 「オグリキャップ」という馬がどんなに強かった馬なのか、 けがで故障を繰り返し、かつての強さがなりをひそめていたのだとか、 天才武豊の騎乗で、最後の有終の美をかざらせてやりたいんだけど多分ムリだろう、とかなんにも知らなかった。
たぶん、あの日はクリスマスイブだか、その前日だったかで、ケーキを焼いていたのだった。 卵白を一生懸命泡立てている時に、たまたまつけていたテレビでファンファーレが鳴り、地鳴りのような歓声を聞いた。 「どうしても、勝ってほしいですね」 というようなことをアナウンサーがいい、 「どうしても、勝たせてやりたいですね」 というようなことを、ゲストが答えていた。
どうやら、すごーく強かった馬が、すごーく弱くなって、このいちレースで引退らしい。 という内容を知ることができた。
頂点をきわめた馬が、どん底にまで落ちてそこで引退。ちょっとそれは悲しすぎる。 なんとかしてやりたい。 せめて、最後は勝たせてやりたいなあ。
一分前まで競馬を知らなかった私ですらそう思ってレースを見守ってしまったのだ。 あの有馬記念の会場にいた競馬ファンはどれだけそう強くそう願っていたことだろう。
勝てるはずのない試合が始まった。 スタートを、かたずを飲んで見守った。 なんだかよくわからないままに、ぐんぐんスピードをあげた一群の中から、するするっとオグリキャップは、抜きん出て、追随をかけるほかの馬達を振り切って、一番でゴールを駆け抜けた。 勝てるはずのない試合を覆した。 今まで一度も競馬を見たことなかった私にとって、それまでどん底に落ちていたことが信じられないようなレースだった。 その時、競馬場全部が、揺れていた。 「ゆたかコール」が「オグリコール」が、巨大なうねりとなって、競馬場を揺らしていた。興奮がうずまいていた。
勝ってよかったな。 有終の美を飾り、自らを伝説としたそのあし毛の馬は、どれよりも美しい馬だと思った。
そのレースから二日後、我が家に仔猫が迷い込んできた。 二日前のレースの感動が忘れられなかった私は、声高に「オグリって名前がいい」と主張したが、もちろん即却下された。 「じゃあ、キャップでもいいよ」 それも黙殺された。
「ちび太くん」(くん、までが名前)と名づけられたその猫を見るたびに、私は何度もオグリキャップの引退レースの感動を思い出したものだ。
ことほどさように。 私のネーミングセンスはこんなもんだ。 たかが知れている。 歴代のペットの名前も採用されたことは数少ない。 今日は自分の所属することになるチーム名を、みなで一生懸命考えた。 もちろん、私はたいしたことは思い浮かばなかったが、センスある友人達のセンスある発言によって、とってもいいチーム名がついた。
このチーム名を思い出すたび、私はきっとこの4人で小さなテーブルを囲んだこととか、後ろの席で騒いでいた人のこととか、ちょっと言葉のあやしいウエイトレスさんのこととか、おいしかった食べ物を思い出すに違いない。
チーム名は、できた。 活動内容も、できてきた。 さてさて、いいかんじ。 みのりあるチームになりますように・・・!
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