無機質な街にも……・
時を知れば。なにも知らぬふうに、ほころびる、淡い蕾。そして。ピジョングレーの空を切り取るヴェール。アタシの住む街。温もりを忘れた、マンション群。そんなところにも。やっぱりハルは。なにくわぬカオをして。咲き誇る。買い物へ行こうと。マンションをでたすぐの、さくらの樹。昨日までは確かに。まだ小さな蕾だった、と。けれど。シャンとひらく、花びら。見つけて、嬉しくて、それからちょっぴり。セツナクて……。来年のこの花は見られるだろうか? と。↑余命、と聞かされると……