劣等感。 それはアタシのこころにも身体にも染みついてもう消えることのない、感情。 何に劣等感を抱くのか、と問われれば。 全て、としか言いようがない。 物心つく頃から、アタシは劣等感に支配され続けてきた。 この年齢になっても変わらず。 もしかして。 アタシがアタシに劣等感を抱いているのかもしれない。し。 人に、限らず。 人以外の、草花や動物や、はたまた太陽や月にさえ。 劣等感を抱く、筋金入り。 人と付き合うのはとても苦しくて。 だからひとりがいいと思っている。 けれど、そのひとりの自分にも劣等感でいっぱいで。 もうどうしようもない。 うつわの自分と内面の自分と、どちらともそれぞれに劣等感を抱く。 本当に、どうしようもない。
ここのアパートはトタン屋根で。 雨が降るとぱったんぱったん音がする。 一昨日から降り始めたみぞれ、そして変わって雨。 その音がどうしようもなく美しいメロディーを奏でるから。 昨日の夜は薬でもってしても眠られず。 こんなに凛とした静けさと雨の音楽を聴いていたら。 ほら、やっぱり劣等感を抱いている。 いったんそのことを思うと。 どんどん眠られなくなって。 久しぶりにオーバドーズしてしまうところだった。 しなかった、けれど、ね。
ある先生は。 『ともかく自分が行った行為を是として、それらを全て書きだしなさい』と言った。 息をしていることですら、立派な行為だと。 アタシはその考えについていけず、『すみません』と謝った。 あれはもういつのことだったのだろうか。 覚えていないほど、遠い、昔のこと。
この性格に。 やっぱりこれからも付き合っていくんだなあ。 付き合っていくしかないのだなあ。 今からでも人は変われると、誰かは言うかもしれないけれど。 今も1分後も再来年も。変われないんだ、としみじみ思う。 やっかいな感情だけれど。 どこかで折り合いをつけて、付き合っていく、それしかないのだな。
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