とある町で
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2014年12月10日(水) 押し花

押し花が嫌いだ。

あれは
花の死骸なのだ。

花の美しさは
みずみずしさ
水なのに
水を流し廻す
命なのに
水を
命を抜いた抜け殻を
丁寧に紙に貼り付けて
保存するなんて
悪趣味だって
思う。


昨日
審査に通った。

辛い長い時間が
熟れて
実って
摘み取る時が来た。

その事実の前では
何もかもが色あせていて
でも
ちょっと泣いたくらいで
案外平気な自分もいた。

メールを書いた。
3日かかった。

正直に
でも抑えめに
書いた。
思ってることも
今の状態も
全部正直に書いた。

返事は来ないかもしれないと
思っていたのに
1時間後に返事は来た。

丁寧に
お祝いの言葉と
注意したことの意味が書かれていて
思っていることは
上手に避けられていた。
大人のビジネスのメールで
100点だ、と思った。

私はその時点で負けたのだと
思った。
メールを書いた時点で
それは決まっていたことだが
もし返事が来なかったら
あるいは私の勝ちだったのに。

私は勝ち負けにこだわらない。
でも勝ち負けの区別はつく。

「いつでも連絡を」と書いてあったので
「次回の時メールします」と書いた。
多分もう
メールすることはないのに。

唯一悔しいとするなら
1回り以上年下の相手に
負けたことか。
でもそれも
決まっていたことだ、
それも最初から。

もしかしたら
不安定さを楽しむこともできたかもしれないが
私はそういうことは
結局できない質だ。

メールを送り終わって
私は妙に乾いている。
まるで
押し花のように。

確実に
私の中の何かが
1つ死んだのだ。

でも
これでいいことも
分かっている。

1つずつ死んで
枯れて
人は無くなることを
義父の死で感じていたから
私も今から
それを始めていくのだから。


昨日に引き続き
X'masソングを聞いている。

同じ曲を
なんどもなんども。

巡る水もないから
もう泣くこともないだろう。

水がなくなることは
腐ることもなくなるということだ。

何もかも
悪いことばかりではない。


久美

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