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2006年03月13日(月) |
わかってはいたけれど |
息が止まった。 頭の中が真っ白になった。
でも考えてみれば当たり前のことで。 わかってはいたけれど、 …ううん、実のところわかろうとしていなかった。
ってこと。
あなたの奥さんは、どんな人なんだろう。 知りたいけど知りたくなんてない。
3月半ば〆の書類。 とにかく誰かの手を借りないとどうにもこうにも、という状態らしく 私が少し手伝うことにした。 事務処理だったら慣れている。
人気のない彼の会社で。 彼のために書類を作成している私。
私は動揺しながら パソコンのキーを打ち電卓を叩く。
ほんの少し凍りついた顔で。
私の動揺を察したんだろう。 髪をなで優しく抱きしめ、耳元で静かに言葉が零れる。
この事務所で。 私は彼とキスをする。
社員が、明日になればやってくるだろうこの場所で。 奥さんがくることもあるんだろうこのデスクで。
奥さんも触るんだろうこのパソコンに 私は指をすべらせる。
イマココデ、ワタシハ、カレト、キスヲスル。
この事務所に今わたしがいることがすべてだ。
私は、割り切るなんてできない。 だったらすっぱりとやめてしまえばいいのに それもできない。
馬鹿な女と笑えばいい。
菜々
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