月に舞う桜

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2020年06月02日(火) SNSの匿名禁止には反対です。

私は、匿名でのSNS利用を禁止したり、SNS利用にあたり顔と本名の公表を義務づけることには反対だ。

これまでSNSでは、性犯罪被害や、家庭・学校・職場での虐待、搾取などの声が多数上げられてきた。
それらの語りや告発は、実名ではないという安心感があるからこそできる人も多い。
現実世界で差別やいじめや貧困などの真っ只中にある(=抑圧されている)人たちが、匿名で現実とは別のコミュニティを持てること、そこで安心して語り合い、現実世界で生き抜くエネルギーを回復できることは、SNSの良さの一つだ。
実名、ましてや顔出しを義務にしてしまうと、抑圧されている人たちはますます声を上げづらくなる。
例えばMe TooやKu Tooのようなムーブメントも、起きにくくなると思う。

たしかに、SNS上の誹謗中傷に対しては何らかの対策を打たなければならないが、原則実名にしたところで誹謗中傷が減る保証はない。いまも、実名で堂々と誹謗中傷・差別発言する人はいくらでも存在する。
匿名での利用を禁止すると、現実のしんどさ(声を上げづらい、声を上げると叩かれる、人間関係が煩わしいなど)がそのままSNSに持ち込まれるだけだろう。
現実世界がしんどい人たちにとって、ほっと一息つける場所がまた一つ失われて、メリットよりデメリットのほうが大きいのでは。

◆SUGIZO、匿名でSNS利用「禁止するべき」(2020.5.25 日刊スポーツ)
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202005250000066.html


桜井弓月 |TwitterFacebook


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