2010年10月11日(月) |
『ミスティック・リバー』 |
『ミスティック・リバー』Mystic River 2003年 クリント・イーストウッド監督
こんなラストに向かうための2時間(138分)だったのかと
幕切れに怒りさえ覚えた。
作品の在り方が間違っていると思う。
評価の高い作品らしいが納得できない。
ハッピーエンド、バッドエンド、結末がどうだったのかが問題じゃない。
ひとつの方向性を持った構成で進行していた物語が
ラスト間際になって、全くタイプの違う物語にすり替わってしまった。
「北海道行き」と明言されて乗ったはずの列車が到着間際
「北海道じゃなくてもいいじゃないか」と支離滅裂なことを言ってきた、そんな感じ。
俯瞰の視点と一人称の視点が都合よく選択されて、ごっちゃになっている印象だ。
全体的に人間関係をもっと俯瞰の視点で描かないとラストが生きないと思う。
こういう居心地のよろしくなさは、クリント・イーストウッド監督作品を見て
結構感じてきたことだ。
理性的に(理論的に?)カッチリ組み立てて進行していたのに
ラスト近くになると途端、抒情の隠れ蓑に隠れて流してしまう、そんな印象だ。
この作品で、ショーン・ペンがアカデミー主演男優賞、
ティム・ロビンスが助演男優賞を受賞したそうだ。
ジミーを演じたショーン・ペンは熱演していたと思う。
上手い役者さんなんだろうなとは思うが気持ちにイマイチ響いてこない。
個人的な好みの問題なのだろうか。
検索すると脚本(脚色?)を書いたのは『L.Aコンフィデンシャル』と
同じブライアン・ヘルゲランドという人だった。
ある事件を軸に交錯する多人数を描くトーンに共通項を感じる。なるほどね。
『L.Aコンフィデンシャル』のカーティス・ハンソン監督に、
違った顔ぶれの役者さんたちでベスト版の『ミスティック・リバー』を作ってほしいとさえ思う。
物語は胸に刺さってくる、よい物語だと思うから。
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