2010年10月12日(火) |
『ギルバート・グレイプ』 |
『ギルバート・グレイプ』What's Eating Gilbert Grape 1993年 ラッセ・ハルストレム監督
NHK-BShiで録画したのを見る。
家族の関係が、すごく面白い視点で表現されていた。
一番の印象はそれだ。
ジョニー・デップ演じる長兄のギルバートが支える一家の状況は重い。
それをサラリというか淡々というか、ごく当たり前の日常として
扱っているところが新鮮だと思った。
その重い状況が、おとぎ話のようにさえ見えるのは
ジョニー・デップの味のある奇妙な魅力の力でもあるのだと思う。
知的障害を持つ弟を演じたレオナルド・ディカプリオに胸打たれた。
スター性と演技力を兼ね備えた俳優さんなんだと改めて思う。
よい作品の部類に入るとは思うけど
全体的に茫洋とした印象にまとまってしまっているというか、作品から感じる力が弱い。
あとスプーン一杯ほど、ギルバートが背負うものの重さや閉塞感を
リアルに感じたかった。
おとぎ話のままフェードアウトしてしまった見後感は、悪くはないけど
ベストでもないと思える。
後から検索して『エイプリルの七面鳥』の監督・脚本の
ピーター・ヘッジスという人がこの作品の脚本だとわかった。
『エイプリルの七面鳥』の物語の詳細は覚えてないけど
とてもよい小作品だったという記憶はある。
『エイプリルの七面鳥』のニュアンスから
『ギルバート・グレイプ』の目指したかった方向がわかった気がした。
たぶん監督と作者の意図は合致してないと思う。
たぶん、作者が表現したかった描き方ではなかったはず。
脚本を執筆したピーター・ヘッジス自身が監督したなら
もっと核心を突いた作品になったのだろうと想像する。
すべてのベクトルが内に向かうような、小さなスケールが
もっとこの作品を生かしたのではないかと思う。
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