『17歳の肖像』An Education 2009年 ロネ・シェルフィグ監督
何かあると思わせる、そしてそれを微妙に裏切るズラシ感が
ちゃんと成立している面白さがある。気の効いた小作品という感じで好きだ。
ピーターとその一味(?)を演じた俳優さんたちは胡散臭過ぎてもNGに
なってしまいそうな微妙なキャラクターを上手く表現していると思った。
細かいことを言えば、ジェニーのお父さんの存在感に違和感があったというか
作品の中で浮いているというか、お父さんのリアリティだけちょっと違う場所に
あるように感じてしまった。だけど許容範囲かとも思う。
後から検索して知ったのだが、16歳の女子高生を演じた
キャリー・マリガンという女優さんは『プライドと偏見』のキティを
演じた人だったのだ。キティといえば、男子をゲットするためなら
火の中、水の中。小ざかしく立ち振る舞う小娘といった役柄だった。
全然この作品の女子高生と結びつかなかった。
マイケル・マン監督の『パブリック・エネミーズ』にも出演とあった。
こっちの作品の登場シーンは覚えておらず。
作品や役柄によって俳優さんは魅力が最大限に
生かされていたり、そうじゃなかったり、作品ごとに変化していて面白い
つくづく思う。
『17歳の肖像』で初めて見た女優さんじゃなかったことにちょっとびっくりだった。
丁寧に描かれた面白い作品ではあったのだけど
ラストシーンに身体の力が抜けてしまった。
腑に落ちないオチだったのだ。
ここまで見てきた解決がこれなの?
ジェーンが足蹴にした男子高校生君とのペイを期待していたので
清算場面がなかったことも拍子抜けだった。
ただ原題を改めて見てちょっと考えが変わった。
邦題の『17歳の肖像』のつもりでエンディングを見るのと
『An Education』のエンディングとして見るのではイマジネーションの
広がって行き方が違う。
『An Education』として見たらわかった気がした。
これも人生さ、という皮肉とエスプリの効いたエンディング(かな)。
ロネ・シェルフィグ監督は
ずいぶん前にインディペンデントな面白さを感じてDVDを購入した
『幸せになるためのイタリア語講座』を監督した人だったのだ。
好きはつながってるのね。
時間を置いて『幸せになるためのイタリア語講座』見てみよう。
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