『ミッシング』Missing 1982年 コスタ・ガヴラス監督
とにかく父親を演じるジャック・レモンが秀逸だ。
一度も息子と絡む場面はなかったが、父子の関係のイマジネーションが果てしなく広がる。
作品の主題が置き換わっても違和感がないくらいだ。
つまり、社会の不条理の物語を超えて父親の物語であると言っても差支えがない。
ジャック・レモンが素晴らしい父親を演じてはいるが、
その視点が、作品の前面に出ている印象ではないのだ。
作品上の視点のバランスがぶれていない。
ストーリーのための物語ではなく、
ストーリーは人物のキャラクターを深く掘り下げて描写する
ツールに成り下がるべきである、と再確認させてくれた。
この父親役の人、どこかで見たことあるなあ、
上手いなあ、と思いながら見ていたら、それがジャック・レモンだった。
当たり前だ。
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