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いつもどおりの朝だった いつもと違っていたことは、二度寝したら
8時30分だった。
あっ!確実に遅刻だ。 もう、絶対に間に合わない。
まず会社に「20分ほど、遅刻します」と一報をいれた。 それから、急いで身支度をして家を飛び出した。
家を出たものの、なんだか会社に行きたくなかった。 「遅刻をした。」という後ろめたさからきているのだろう。 「でも行くしかない。」という気持ちが強く働き、足はまっすぐ駅に向かっている。
もし、このまま会社なんかに出勤せず、のんびりと街を散歩したらどうだろうか いつもとは違う風景が見えてくるのではないのか。 そこには、足早に歩く会社員やだらしのない学生もいない 休日のように、家族連れやカップルもいない。 では、そこにいるのは誰だ?主婦か?
そんなことをぼんやりと考えながら どこにも行く当てもなく、のんびりと流れるがまま気楽に歩き 時間という概念に縛られず、自由をめいっぱい満喫して この機会に今一度、自分を見つめ直すのも悪くはない。
と、言いつつも足は自分の意志とは裏腹に会社へと赴くのであった。 やはり現実主義の自分には叶わない夢物語なのだ。
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