ギクの日記
ぼちぼち書いております
2008年04月13日(日)  枝見

ピンク色の虫のようなものが僕の目の前を横切った。
僕は驚いて足を止めました。
ところがさらに驚いたことは、ピンク色の虫は突然消えたのである。
あたりを探したがそれらしい、影も形も見当たりません。
どこに行ったのだろうと上の方を見ると、桜の花びらがひらひらと舞っていました。

世話しなく働く人通りの上には、もう気の早い桜の木が花を咲かせていた。



と、いうのは・・・もう三週間以上前の話。


いまでは、すっかり桜の花は散っている。


それにもかかわらず、僕の友達が
「まだ、俺達の桜の花は散っちゃいないぜ。」と意味不明な電話で起こされ
「桜は散ってからが、もっとも美しいんだ。」と訳のわからない口車に乗せられ。
天気が悪く、風も強く、おまけに気温も低いのに、これから花見することになってしまった。

もちろん、桜の花は散っていた。
その代わりに八重桜がついていた。

僕は途中から2時間ほど遅れて駆けつけたので、友達の何人かはすでに酔いつぶれていた。
途中参加だと「駆けつけ三倍」という掛け声があるために
お酒をイッキさせられるのだが、既に周りが出来上がっていたため難を逃れた。

周りを見渡すと、僕たちと同じ花見客がちらほらいた。
焼酎ボトル片手に歌っている人。
ビニールシートの上で三点倒立をしている人。
桜の木に抱きついている人。←知り合いのN君。
ビール缶でお手玉を始める人。

この人たちを見てると、
ただただ、外でお酒を飲みながら騒ぎたいだけではないのか、と疑いたくなる。

一応、桜の下にビニールシートを引いているが、誰一人として桜を見ていないから
とても桜を愛しているように見えないのだ。といっても桜は散っていたけど。

まぁ〜それは僕たちも似たようなものなのだが。
散ってしまった桜を見ても仕方がない。というのが友達の見解だ。
「んじゃ〜こんな時期に花見なんかするな。」と言ってやったが
「でも、昼間からしかも外で飲むと気持ちいいだろ。」と言われ
「確かにそうだな。」と素直に頷いてしまった。

「これじゃ〜花見じゃなくて枝見だね。」と友達がうまいことを言っている。
目の前に座布団があったら、さぞかし差し上げていただろう。
あるのは、酒だけだったので、そいつを差し上げたが。

それから
ガイガイわやわやと舌がもつれ
ろれつが回らなくなるほど飲みまくり
へべれけに酔うまで、騒ぎ続け
6時間くらいが経過したのち、ようやくお開きとなった。


結局のところ
桜が満開どころか、むしろ枯れていても
盛り上がっている僕らには
夏でも秋でも冬でも「枝見」だけでお酒を飲めるような気がした。
こういう僕らは花見をする資格はないのだろう。


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