あぁ、地震だ。 と思い、部屋が揺れたと同時にヤツは突然動き出した。
何を隠そう、ヤツとはテレビの上に置かれている 去年、誕生日プレゼントに樹君から頂いたロボットだ。
あのダサイロボットが 地震の揺れと共に僕に声を投げかけてきた。
「俺、今なら飛べる気がする。」 「待て、早まるな、お前はただのプラスチックだ、飛べるわけないだろ。」 「確かに俺は、ただのプラスチック製のロボットかも知れない、でも、今なら飛べるんだ。」 「だいたい、お前には羽もなければ翼もないじゃないか、どうやって飛ぶんだ。」 「俺には、きっと見えない翼が生えているんだ。だから飛べる。」
と、言い残し テレビの上から、DIVE
もちろん、ヤツには飛行装置は付いておらず まっさかさまに落下して、テレビ台の角に激突した。
ヤツは、大破まではいかなかったが、腕に傷がついていた。
きっと腕よりも心に傷が残ったであろう、ロボットを持ち上げ テレビの上に、そっと戻しておいた。
「次は飛べるといいね。」
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