男には負けるとわかっていても
向かわねばならない戦場がある。
たとえそれが、399.25分の1しか勝機がないとしても
何が何でも戦わなければならない理由が僕にはあるのだ。
思えば、来週に父親の実家へ法事に出席しなければならず
そのために、喪服を着ることになるのだが・・・。
自分自身があまりにも太りすぎたため、
4年前に購入した喪服のズボンが入らないといった
非常事態が発生してしまったのだ。
お腹を凹←こんな感じにすればなんとかいけるが
この状態を何時間も保っていられるはずもない。
ヤバイ!
激ヤバイ!!!
今から、猛ダイエットを始めたとしても法事までに間に合うはずもなく
ってか本人がダイエットをする気がまったくない。
そこで仕方がなく、新たに喪服を購入することに決めたまではいいのだが
ただいまの所持金、4万円、諭吉さんが四人。
喪服は安くても7万円・・・。
諭吉さんが三人も不足している。
ここで冒頭につながります。
「諭吉さんが足りないのなら増やせばいいじゃないか」
カニ味噌くらいの脳しか詰まってない僕は突如、名案が浮かんだ。
安易な考えでしかできない僕の向かった先はもちろんパチンコ店。
こうして僕はパチンコという名の魔物に戦いを挑んだのであった。
地道に甘パチで時間をかけて稼ぐという方法もあったが
すでに危機的状況に直面している
僕には地道より一発逆転、起死回生の言葉しか頭に浮かばず。
当たれば20連チャンも夢ではない大爆発する台
花の慶次に僕がもてるすべての諭吉さんを投資した。
台や釘を慎重に丹念に何となく選んで前田慶次さまに一礼してから座った。
深々と頭を下げたのに、早くも諭吉さん1人がパチンコ店に連れ去られた。
そして2人目の諭吉さんが樋口さんに変わりそうな時に頭の中で天使が僕に言った。
「ねぇ〜喪服のズボンだけなら4万円あれば買えたんじゃないの?」
「もっと早く言えぇーーもう遅いわぁ〜。」僕の欲望の悪魔が天使の首を絞めた。
だいたいこういった金欲が全面に噴出しているときは
毎回、返ってよくない結果に終わる。
そんな負のオーラが漂う中、150回転ぐらい回してからキター。
タブル金枠→金扇→キセル→白襖と発展
脳内で欲望の悪魔が勝どきをあげた。
しかし、向かった先のリーチは最弱の伊達リーチしかも白字
今まで当たった試しがない。
こいつは「ワシの隻眼はものを見ることができぬ、だが人の心が見える」
とぬかしながら、ちっとも当たり図柄が見えないダメ男。
もう終わったと諦めかけたとき。
バシッコンーーーと図柄が揃った。
今日の僕は一足も二足も違っていた。
いつもなら脳内でギャンブルの女神に口説こうとして
逆に往復ビンタをくらわされるのだが、今回はどうやら僕に惚れたのか
その後も、まさかの大爆発で城門突破しまくり
15連チャンもして喪服を一式買ってもお釣りがくるぐらいの大勝利に終わった。
これで胸を張って父の実家へ参拝できそうです。
『今日の一枚』
2確を2回、引きました。