2006年03月04日(土) |
シドの回想 ―――3――― |
こんな時間にどうしたんだよ。つーかお前、日づけ変わるまで起きてらんねえって前に言ってよな。電話とってびっくりしたよ。で、話って何だ?
そんなに急かさないでよ。起きてるはずもない時間に起きてるってことは……どういうことなのかシドにはわかる?
……わかんねえ
眠れないくらい考え込んでることがあるの……!
だからそれは何だよって訊いてんだろ。それより外灯の下にでも移動しねえか?いくらコンパクトな十字路って言っても、ど真ん中じゃ車が来た時轢かれるぜ
うん……
暗くてわかんなかったけど、そんなに落ち込むようなことなのか?顔がそう言ってるけど……
──ユリナさんとは、今の関係……ずっと続くの?
あいつが卒業するまでな
何それ?
何って、それがユリナと俺の契約だから
そんなのやめなよ!遊ばれてるだけじゃない!
そんなこと最初っから知ってるよ。でも、俺は別にそれでもいいと思ってるから全然構わない
私がよくない!そんなの、絶対許さない……。つき合えないんだよ?
そんなのまだわかんねえよ。一月だろ?あと二ヶ月もある。まともに告白したらオッケー出るかもしれねえぜ
あの人がそんなシドの感情なんかに左右されるとでも思ってるの?
少なくても、ユリナのことはヒトミ以上にわかってるつもりだぜ、俺は
そんな言い方しないで。辛いんだよ、私……。シドが毎日のようにユリナさんと一緒に帰ってるとこを見るのも。その後何をしてるのかを考えるのも……
そんなこと言われてもさ、俺──
私の気持ちも考えて……私の気持ちにも気づいて……
──おい、腕を退けてくれ。……俺は今、ユリナのことしか考えられない。遊ばれようが何をされようが、そんなことは承知してる。ユリナがどういう女なのかもわかってる。──だから離れてくれ
じゃあせめて……せめてあと少しだけこのままでいさせて。そのくらいの時間、私にもちょうだい。……あと、今この時間、凍えちゃうくらい寒いし私はすごく惨めな気持ちだけど、二人でこういう時間を過ごしたこと、絶対に忘れないでね。シドはすぐ忘れそうだから
……凍死しても知らねえぞ。──もう勝手にしてくれ
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