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華はこの時期、とても忙しい。 朝は7時からで、夜は9時まで。 残業はちゃんと付くと言っても、何日も続けば心配になる。 なのに、華ったら元気そうで。 クリスマスが近くなったと実感してから、毎日、贈り物を持ってくる。 真っ赤な傘を貰った。 ちょっと高級なお肉を貰った。 陶器の蛙の灰皿を貰った。 ケーキ二つと煙草を三箱も貰った。 毎日、毎日、あたしは貢がれている。 お返しはどうすればいいのかな。 返せる物なんて、あたしにはないのに。 タイ一つだけで、こんなに貰っていいのかな。 でも、嬉しいんだ。 イブは一緒に過ごせないし。 クリスマスだからと言って、一緒に夜を過ごせるワケじゃない。 あたしたちは、相変わらず括られた柵の中でしかいられない。 目を閉じるだけで思い出す。 この夏の事件。 胸の奥が痛くなるような苛立ちを覚える。 あたしは。 あたしは。 今の現状が、嫌で、嫌で仕方ないんだと、実感する。 どうにもならないと分かっているから。 どうにもできないと思い知ったから。 言い訳を並べよう。自分に対する言い訳。 女は三十を越えてからだ!! とか、ね。
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