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午前中から出かけたら、一日はとても長い。 寒空の下でも、以前と違ってバスを乗り継ぐ必要も、 次のバスを待つ時間もいらないから、 楽しいとはしゃぐ華を後ろに乗せて、 あたしはアクセルをふかしていく。 寒くて寒くて仕方ないのに、楽しいのはどうしてだろう。 知らない道を走る緊張感。 いつもよりもちょっと遠出。 カフェでモーニングを食べて、古い神様に御挨拶をして、 もう一つ、今度はお寺をぐるりと歩いて、 山道で大回りをして帰る。 たっぷり出歩いたつもりなのに、まだ午後。 いつも、朝寝して目が覚める時間だ。 帰ってきてから、早めの晩ご飯兼おやつ。 気の遠くなるような、長いお遊び。 日曜の昼間なんて、ご近所迷惑だと思うから、 それでなくとも、いつもご近所迷惑だから、 あたしは声を殺して、華の下で、上で、呼吸を繰り返す。 逃げ出したい。 逃げられない。 逃げたくない。 怒濤のような快楽の波間で、あたしは何度も溺れて息絶える。 草臥れ果てたおかげで、夜はぐっすり寝た。 二人きりでいられる時間、あと一週間。
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