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猫は一週間旅行に行っただけで人間を忘れてしまうほど薄情な生き物だと思っていたけれど、わたしの黒猫ミュンは1年離れていたわたしを微かに覚えていた。証拠にマーティンと帰国し、彼が触ると速攻逃げるのにわたしが触っても逃げなかった。涼しくなってきたこの頃、ミュンはわたしのベットに一緒に寝ていて、朝になると一階に下りていってご飯を食べてまた戻ってきて喉をゴロゴロならしている。
一年前はミュンしかいなかったのに、わたしがいない間にミュンが二匹子供を生み、一匹は母の知人に貰われて行き、残った一匹がリンちゃんというシマ模様の猫でこの家の子となった。そしてもう一匹、母と妹が犬の散歩の途中で捨てられていたところを保護したのがクーちゃんという茶白の猫。父は猫が嫌いで一匹でも嫌だと言っていたのに今は三匹もいる。さぞかし嫌がってわたしがいない間も文句言ってたんだろと思っていたのに、それどころか父のお得意の日曜大工で猫が自由にいつでも出入り出来るためのドアが作られている。そして猫のことについて一言も文句を言ってこない。どうしたことかと母親に尋ねてみると面白い答えが返ってきた。父が職場の同僚に「うちはみんなで猫拾ってきたりして嫌になっちゃうよ。今は三匹もいるんだ」と愚痴を言うと「いいじゃないか。奥さんは捨てられた猫を見捨てられない優しい性格なんだよ。だから**さん(父)が年とって倒れたりしてもきっとちゃんと面倒見てくれるよ」と言われ、「年とって倒れたら」なんて言う言葉にズキッときてしまったようなのだ。父は重い不調はないものの健康そのものといった感じでもないし自然と老いも感じているのではないだろうか。ともあれ長年猫を拾っては文句を言われていたわたしとしては父の同僚、いいこと言ってくれた!という感じ。先日猫用のドアが壊れたので父に言うと黙ってトントンと治していた。