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わたしがいない間にマーティンは魚を買い込み、犬が骨を地中に埋めるように冷凍庫に大事にしまって、たまに取り出しては嬉しそうに見せてくれた。鱒だった。内陸部育ちの彼は魚が大好きだったけれど肉の三倍もの値段だった為あまり食べられなかったし、新鮮なものも手に入らなかったけれど、子供の頃小さな川で鱒を捕まえて食べた記憶があるという。大事に大事にしまってあるのはいいけれど「早く食べないと冷凍庫の匂いがついて味が落ちるよ」とわたしに忠告され、今日やっと作ることにしたらしい。
ポテトの皮を剥き、塩を入れたお湯でボイルし、完全に茹で上がらないうちに水から上げ、ざっくりカット。鱒をプレートに置きその周りにポテトを置き、バターを乗せて塩とクミンシードを振り、オーブンで焼く。これでお終い。
大きな真っ白いプレートに魚とポテトを盛り付ける。魚からでた油がバターと交じり合っていい具合にポテトに絡んでいる。マーティンはきれいに骨を除きあっという間に平らげたが、わたしはポテトでお腹が膨れて半分も食べられなかった。残った魚をミケにあげるとガツガツ食べていたけれど、ですぐに満腹になったのか半分残してまたすぐに外に遊びに行ってしまった。
マーティンも食べ終わるとさっさと友達と飲みに行ってしまったので、今夜は一人で本でも読んでおとなしく過ごそう。仕事をしなくなってからめっきり金曜日の夕方に心はやることがなくなった。何をするわけでもなかったがちょっとあのそわそわ感がないのが淋しい。